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【新聞掲載】変革の先駆者になるか

2005年1月7日(金)産経新聞に、本校についての記事が掲載されました。

変革の先駆者になるか

県内で学習塾を経営する「伝習館」が中心となって来春、県東中部で初の中高一貫制私立校「湯梨浜学園中学・高校」を湯梨浜 町田畑に開設する。

中高の枠にとらわれないカリキュラムを組み、大学受験に強みを発揮する少数精鋭教育が特徴。少子化が進むなか、鳥取に一貫制がなじむか 首をかしげる向きもあるが、問題は一つの学校の設立にとどまるものではない。

他県では一貫制の学校設立が他の高校の活性化をもたらした例があり、湯梨浜学 園の挑戦は、県全体の教育を大きく変えていく可能性を秘めているという。(内山浩作)

競争力の低下

湯梨浜学園設立の背景には、県立高の大学入試での競争力低下がある。鳥取大の受験では、昨年の入学者に占める県内高校の出身者は14・8%で、昭和59年の 41・8%から大幅に低下した(同大入試課調べ)。ある教育関係者は「県内の高校生に、鳥取大に入る学力がなくなっている」と分析する。

伝習館代表でもある坂根徹・湯梨浜学園理事長(55)は競争力アップに向け、「学習塾で培った学力アップのノウハウを活用する」と説明。カリキュラムの柔軟性に加え、大学受験のみに集中できるという一貫制のメリットを生かすという。

例えば、中学校では、英語、数学の授業について公立校の2倍に当たる週6コマという学力重視型のカリキュラムを設定。高校2年までに中学、高校の学習内容をすべて終わらせ、高校3牢は大学受験対策中心の授業を組む計画になっている。

モデルケース

同校の意気込みに対し、鳥取に一貫制がなじむかどうか疑問を呈する声もある。県内の私学関係者は「鳥取、米子の両市のような都市部を除けば、地元の公立中学、高校への進学志向はまだ強い。生徒も保護者も一貫制といってもピンとこないのではないか」と指摘する。

が、他県ではこんなケースがある。”文武両道”の学校として知られる智弁和歌山中学・高校(和歌山市冬野)。高校野球の強豪校でありながら、毎年20人前後の東大合格者を送り出している。

一貫制を始めた26年前には和歌山県内に同様の学校がなく、同校関係者は「当時は智弁も、県立高校のすべり止めと見られていました」と振り返る。

活性化に期待

ところが、同校が結果を出すと状況は一変。他め私立校も次々に一貫制を導入する。今年4月に和歌山県立向陽高に併設された中学校は、80人の定員に対して820人の志願者を集めるほどの人気となった。

同校関係者は「子供が減少している現在の方が厳しい部分はあるが、結果を出せば、まわりの方が変わってくるもの」湯梨浜学園にエールを送る。

智弁和歌山が結果を出すまでに10年かかったように、湯梨浜学園も結果が出るまで時間がかかるかもしれない。私立校を管轄する県教育学術課の担当者は期待を込めてこう語る。

「県内の私立高はこれまで、県立高のすべり止め的なイメージが強かった。しかし、時間がかかっても湯梨浜学園が結果を出せば、私立高同士の競争が起きる。それが公立高に波及し、県内の高校教育の活性化につながってほしい」

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